ドクターインタビューDoctor Interview

患者さんと一緒に
病気を乗り越えます
整形外科・リウマチ科
副院長望月 猛

高齢化によって運動器のお悩みが増えています

整形外科は一般的には運動器といわれる、体を動かすのに必要な部分に特化しています。骨や関節、脊椎、靭帯、神経などを診察しますが、受診する理由のトップは腰痛です。このほかにも首から肩にかけたところや膝の痛みを訴える患者さんがたくさんいらっしゃいます。高齢化に伴って受診される患者さんが増えていますが、長生きすれば病気も増え、特に運動器は加齢とともに愁訴が顕著になるので整形外科が果たす役割は大きいと感じています。

動ける体」のためにチームで支えます

治療で大切なのは、動ける体をいかに長く維持するかです。そのためにはまず、患者さんのモチベーションを上げる必要があります。核家族化が進んで家族のサポートが受けにくい社会になっているので、自分で自立した生活を送るためにしっかりと目標を持っていただくことが不可欠です。当院はかなりの手術実績がありますし、経験が豊富なスタッフがそろっています。しっかりサポートできる体制が整っているので、安心してお任せいただけると思います。

手術を受ける2割の患者さんは80歳以上です

リウマチ手術の年齢割合 2割の患者さんが80歳以上

この15年くらいのリウマチ治療はかなり進歩しており、特に薬物治療は劇的に変わっていると感じます。手術に関してもリウマチ特有の骨の変形などに追いつけるような技術が進歩していますし、人工関節などの医療工学のほか、骨へのダメージを最小限にした手術など技術面でも目覚ましく向上しています。僕の親がリウマチでしたが、当時は今のような薬もなかったので、症状はどんどん悪化してしまいました。それで中学生の時に整形外科医になろうと思い、親の手術も僕がしました。

個人差はありますが、当院で手術を受ける患者さんの2割強は80歳以上です。94歳で人工関節の手術を受けた方がいます。97歳になられましたが、シルバーカーで外出しています。車いすで来院していた70代前半のリウマチの患者さんは生物学的製剤の点滴を受けて、2時間後に歩けるようになりました。

薬が劇的に効いたケースで、今は約3割の患者さんにこの薬が使われています。91歳の患者さんは自分の体を良くしたいとの思いが強く、このモチベーションなら大丈夫だろうと判断して手術をしました。手術前はシルバーカーを押していましたが、術後は杖でほぼ普通に歩けるくらいまで回復しました。車いすで来院していた50代でリウマチの患者さんは、両方の股関節や両ひざなど、何か所も手術をした結果、杖を使わずに歩けるようになりました。

患者さんの頑張る姿に励まされます

自分で動けるようになると、生活の質が格段に変わってきます。でも、自分のことを後回しにする方も多く、治療のタイミングを逃しているケースがあります。もっと早くに診察を受けていれば、もう少し良くなる可能性があったということも少なくありません。定期的に診察を受けていただけたら、治療のタイミングを逃さずに済みます。自力で少しでも長く動くために体の点検をしっかりすることが大切です。

手術を不安に思わない患者さんはいないので、不安をできる限り軽くしたいと思います。幸い、当院は病棟と外来の看護師が一緒なので、患者さんに安心していただけると思います。さらにリウマチの患者さんには、ケア看護師やリハビリ師など、リウマチに精通したコメディカルがそろっていますので、手術だけでなく通常の治療も安心感を持っていただけると思います。

治療には患者さんご本人が良くなりたいと思う気持ちも必要です。治療は手術をして終わるものではなく、慢性疾患、変性疾患は手術後にもリハビリなどがありますから、いかに継続できるかも術後の成績を左右します。もちろん、われわれもきちんとサポートしますが、患者さんがしっかりと気持ちを持っていただくことも欠かせませんので、われわれと一緒に病気を乗り越えていただければと思います。

でも実際には頑張って治療をする患者さんの姿にこちらが元気をいただくことがたくさんあります。元気になられた患者さんの姿を拝見するのは非常に嬉しく、整形外科医になって本当に良かったと思います。

総合病院としてのメリットを治療に活かしています

当院は総合病院なので多くの疾患をカバーできます。さまざまな診療科があり、他科との連携や検査できる設備が整っていることは当院の強みです。専門知識を持ったスタッフがそろっているので、高い技術と実績で患者さんのトータルケアができます。

整形外科の中でもリウマチはかなり特殊な分野になりますので、経験豊富なスタッフがいる体制でしっかりと治療管理できる点が当院の特色です。整形外科はリハビリと定期的にカンファレンスを行って連携を深めています。整形外科は患者さんの訴える部分を中心に診察しますが、リハビリは患者さんの機能全体を見ながら接するので理学療法士が気付いたことを知らせてくれます。連携しながらトータルで患者さんをケアする必要性を感じています。

患者さんが元気でいるために精神的なサポートもします

患者さんの日常生活をより良くしたいと思って医者になり、その気持ちは今でも変わりません。患者さんがとにかく元気であること、元気にすることだけを考えています。そのような思いもあり、患者さんにはなるべく若いうちから体を動かすようにお話しています。特に50代、60代の方は今からしっかりと体をつくっておかないと、後が大変なのです。適切なタイミングに手術や治療を受けるのはもちろんですが、それ以外にも運動療法なども含めてしっかりと動ける体を維持すると、健康寿命を延ばせます。女性は筋力が少ないため、骨や関節、脊椎への負担は大きくなります。だからこそ、女性は若いうちから鍛えて筋力を付けることをお勧めします。

医師として治療をするのは当然ですが、どうしても機能を良くすることが難しい場合もあります。そんな時はお話を聞くことで、患者さんの気持ちを少しでも軽くしたいと思います。精神的なプラスアルファの提供も、1つの治療ではないかと考えています。医者と患者というより、人と人として向き合っていきたいので、不安があれば安心してご相談ください。

Doctor Profile
副院長
望月 猛もちづき たけし
専門領域 整形外科一般/外傷一般/関節外科/関節リウマチ/スポーツ医学/関節鏡視下手術
卒年 平成12年
出身校 順天堂大学
認定医・専門医
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 認定リウマチ医
  • 認定スポーツ医
  • 認定脊椎脊髄病医
  • 認定運動器リハビリテーション医
  • 日本リウマチ学会認定 指導医・専門医
  • 日本人工関節学会認定医
  • 日本内科学会 認定医
  • 日本骨粗鬆症学会 認定医
  • 日本自己血輸血学会 認定責任医
  • 日本骨・感染症学会 認定ICD:infection control doctor(認定感染制御医師)
  • 日本体育協会公認スポーツドクター
  • リウマチ財団登録医
  • 警視庁アメリカンフットボール チームドクター