脳動脈瘤や脳梗塞をはじめとした疾患を切らずに治療
2021年4月に脳血管内治療センターを開設し、センター長として着任いたしました。 脳血管内治療センターでは、主に脳の血管が絡む様々な疾患を対象に、直接切開をせずにカテーテルという細い管を用いて治療を行います。この手法では、従来の手術では治療が困難だった病変へも容易に到達でき、開頭手術と比べて患者さんへの負担が少なく、高齢者や合併症を持った方にも施行できるというメリットがあります。
対象の疾患病名で一般に広く知られているのは急性脳梗塞や脳動脈瘤です。他にも脳の血管が絡む様々な疾患を専門に治療しています。
当センターで求められていることは急性期の血栓回収で、迅速かつ正確な対応が求められるため一筋縄ではいきません。
チーム内で役割分担をして治療に臨んでいます
脳血管内治療センターは、脳神経外科と共に治療を行っています。現在治療に当たっているのは、脳血管内治療センターは私を含め2名、脳神経外科は部長の氏家先生を含め2名、そして脳神経外科専門医で回復期リハビリテーションを担当する杉本先生の合計5名で、我々が血管内治療を、脳神経外科が開頭手術を担当しています。私はこれまで開頭手術、血管内治療の両方を行ってきましたが、4年ほど前からは血管内治療を専門に担当しています。
杉本先生は回復期リハビリテーションの分野で脊髄、脊椎などを担当しており、それぞれが役割分担をしながら、若手医師の指導も行っています。
脳血管障害は放っておかずにしっかり治療を
脳血管障害は人間ドックや脳ドック、別の疾患でMRI検査やMRA検査を行った際に偶発的に見つかる事が多々あります。特に人間ドックや脳ドックで異常を指摘された場合は、速やかに受診して、どの様な状態なのかをしっかりと見極め、必要に応じて治療を受けることをお勧めします。どの病気もそうですが、早期発見と早期治療が患者さんの命と日常を守ることに繋がります。
脳血管障害が発見されるケース
草分け時代から血管治療の経験を積むことができた
筑波大学での研修時代に素晴らしい先生に出会い、脳神経外科医の道を進むことを決意しました。私が研修医だった当時、外科は外科系、内科は内科系に分かれてトレーニングをしていました。産婦人科と泌尿器科も研修で回ったのですが、非常に面白かったことを今でも覚えています。
筑波大学には20年間以上在籍していましたが、仲が良かった先輩の先生に声をかけていただき、助教授として琉球大学に移りました。沖縄では脳血管内治療を草分け時代に始めることができ、今までという期間、長く経験を積むことができ非常にメリットがあったと思います。
1997年から日本でも血管内治療が増えましたが、筑波大学は当時新設医大でしたので、年間100件弱の症例が限界でした。それよりももっと減るだろうと覚悟して琉球に行ったところ、沖縄には専門家が少なく、最終的に年間240件まで増え、沖縄全体の9割以上のシェアで血管内治療を行いました。
若い先生方と新しいことに挑戦していきたい
その後は越谷の獨協医科大学に分院の主任教授として移り、脳血管障害の教授ではなく脳神経外科全体の教授でしたので、全てにおいての責任を常に感じていました。越谷ではより症例が増え、脳血管内治療だけでも300件ほどは行っていたと思います。
鎌ケ谷総合病院へは、脳血管内治療に特化した診療を行うために移ってきました。脳神経外科部長の氏家先生もよく知っていましたし、何より新しいことを若い人たちと一緒にやる環境に惹かれました。新しいデバイスを使いながら、チームでチャレンジしてやっていく状況を楽しみたいなと思っています。症例を増やし、より情報を発信できるようテコ入れをしていきます。
患者さんファーストで、最善の治療方法を一緒に考えます
地域の先生方には、脳の血管の病気が疑われる、あるいは見つかった。もしくは自分の専門外だと思ったら遠慮なくご紹介頂ければと思います。また、血管の中からどれくらい治療できそうか、という相談に乗りますので、気軽にお問合せて頂きたいですね。
例えば動脈瘤が見つかった患者さんには、「確かに動脈瘤だけども、小さいものはほとんど破けないよ」ということを私たちの口から伝えてあげると安心すると思います。
患者さんにとって何が最善なのかというと、一つは具合が悪くならないことです。病気が治って安心できる、ということを両立させるような努力をさせていただきたいです。難しい手術や治療に対してはどうして難しいのかをきちんと説明しますし、あまりにも難しいものに対してはこちらの方がいいよ、という話ができると思います。患者さんファーストで、患者さんの不安をいかに取り除くか、ということを今後も考えていきます。
卒年 | 1977年 |
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出身校 | 千葉大学医学部 |
- 1977年
- 千葉大学医学部 卒業
- 1977年
- 筑波大学附属病院研修生
- 1977年
- 筑波大学附属病院医員(研修医)(外科系ジュニアレジデント)
- 1977年
- 筑波大学附属病院医員(研修医)(外科系ジュニアレジデント)
- 1979年
- 筑波大学附属病院医員(脳神経外科シニアレジデント)
- 1981年
- 財団法人脳血管研究所美原記念病院 脳神経外科医師
- 1983年
- 筑波大学附属病院医員(脳神経外科チーフレジデント)
- 1983年
- 筑波大学講師(臨床医学系、脳神経外科)
- 1999年
- 琉球大学医学部助教授(脳神経外科学講座)
- 2003年
- 琉球大学医学部助教授(高次機能医科学講座脳神経外科学分野)
- 2005年
- 琉球大学医学部診療教授
- 2008年
- 獨協医科大学越谷病院 脳神経外科 主任教授
- 2009年
- 帝京大学医学部脳神経外科学 客員教授兼任
- 2012年
- 獨協医科大学埼玉医療センター 副院長 兼任
- 2016年
- 獨協医科大学埼玉医療センター 病院長 兼任
- 2017年
- 獨協医科大学埼玉医療センター 病院長、脳神経外科特任教授 兼任
- 2021年
- 鎌ケ谷総合病院 脳血管内治療センター長
- 1986年
- ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院
- 1988年
- 米国マサチューセッツ州ボストン 脳神経外科研究員(海外留学)
- 1992年
- カリフォルニア大学サンフランシスコ校神経放射線科
- 医学博士
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本脳卒中の外科学会技術指導医
- 獨協医科大学名誉教授
- 元獨協医科大学埼玉医療センター特任教授兼血管内治療センター長
- 元獨協医科大学埼玉医療センター院長
- 元日本脳神経血管内治療学会理事長