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しゃっくり(吃逆)の治療

鎌ケ谷のしゃっくり博士が解説!しゃっくりの謎を解く

 

【目次】

1【新解釈:しゃっくりとは】

2【新解釈:横隔膜の進化と役割】

3【呼吸と嚥下 類似点と相違点】

4【しゃっくりの発生メカニズム】

5【慢性しゃっくりに関係深い基礎疾患】

6【現在出ているしゃっくりの止め方】

7【慢性しゃっくりの薬物療法(現在判明してきたこと)】

8【しゃっくり研究の未来・他分野での応用】

 

はじめに

しゃっくりについての情報はネットにあふれています。が、他のサイトの話は横に置き、ここでは素人を対象とした平易な表現で、私が考える「新解釈:しゃっくりの正体」についてお話します。異論・反論・質問大いに歓迎。ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

1【新解釈:しゃっくりとは】

結論から言うと「しゃっくりとは、反射的な嚥下運動(=飲み込む動き)の一種」だと私は考えます。

 

理由は簡単。実は私たち全員、おそらく経験があるのです、「しゃくりが真に役立っている場面」を。例えばおにぎりを急いで食べた時、あるいはいつもより大きな食べ物を飲み込んだとき。たまにごはんが胸にひっかかってしまうことがあったでしょう? あの時を思い出してください。

あの時、無意識なのに「ヒック、ヒック・・・」と胸が動いていませんでしたか?あれが実はしゃっくりだったのです。 食べ物が食道に引っかかって胃まで降りて行かないので、食べ物を移動させるためにしゃっくりが起きたのです。つまり、しゃっくりの「本来の役割」とは、胸につかえた食べ物をなんとか胃まで動かそうという飲み込み反射だったのです。

余談ですが、おそらく芸人さんに「おにぎりが喉に引っかかったコントをお願いします」と頼めば、胸を叩いたりしながら、あのヒックヒックも必ずやってくれるだろうと思います。

 

 少し話が逸れましたが、しゃっくりとは、決して無意味なけいれんではなく、本来はちゃんとした役割を持った意味のある動き。似たような反射運動には、くしゃみ、咳、嘔吐等々があります。医学的にはこれらは「何かの刺激に対して、無意識に起こる反射運動(=たくさんの筋肉が短時間に順序よく動いてなしとげる複雑な反射運動)」であり、しゃっくりもその一つだと私は考えます。後ほど、しゃっくりの「本来の役割」について詳しく触れたいと思います。

[コラム] 食道第2生理的狭窄部・・・食べ物渋滞の名所 食道には3つの「狭い場所(狭窄部 きょうさくぶ)」があります。1つめは「食道の入り口(食道起始部)」、2つめは「食道の真ん中付近(大動脈弓と接する場所)」、3つめは「胃につながる直前(横隔膜貫通部)」です。私の研究ではこれら3つの狭窄部は、いずれもしゃっくりに縁が深いようです。特に第2食道狭窄部は、まさにしゃっくりスイッチが入る場所で、実際に食物が詰まると「ヒック!」が始まります。またこの場所に冷たいアイスが引っかかると「キーン」と頭が痛くなります。どうやら食道第2生理的狭窄部付近には様々な神経が存在しているようです。

2【新解釈:横隔膜の進化と役割】

巷では「しゃっくりは横隔膜のけいれん」と言われています。確かにしゃっくりで一番大きな動きをするのは横隔膜。だから横隔膜が根本原因だと考えるのも無理ないでしょう。ところが、実はしゃっくりは横隔膜だけで起きている現象ではありません。喉付近の筋肉(例えば声帯を動かす筋肉)も同時に動いています。その証拠に、しゃっくりをすると「ヒック!」という「声」が出ます。横隔膜と共に声帯を動かす筋肉が動くからです。つまりしゃっくりを「横隔膜のしわざ」とするのは、まさに木を見て森を見ず。大木だけに目を奪われて、周囲の小さな木々に気づいていない見解のように思います。

[コラム] 横隔膜 横隔膜を動かす神経は「横隔神経」。首の骨の間を通って(第4頚椎付近)首を通り、胸の中を通って横隔膜に到達する長い神経です。左右それぞれにあり、左右の横隔膜はそこから流れてくる電気信号で動いています。余談ですが、慢性的に続くしゃっくりを治療するために、左右両方の横隔神経を切断する手術(!)が日本でも行われたという記録があります。確かにこの手術を行えば、しゃっくりが起こっても横隔膜は動きません。しかし喉周囲に行く神経はしゃっくりが起こると動きます。つまりしゃっくりの度に声帯などが閉じる、すると息が一瞬止まるはず。 だから患者さんは真の意味では満足しないはずです。しかも横隔膜が動かなければ、普段の生活で深呼吸ができません。まさに本末転倒。海外では未だにこの手術が行われているようですが、私はこれに反対です。

 

さて横隔膜の役割は? といえば、多くの人が「呼吸」と答えると思います。もちろん教科書的には大正解ですが、あえて私は「半分正解」と致しましょう(理由は後述)。

では動物はすべて横隔膜で呼吸しているのでしょうか? いいえ、違います。実は横隔膜を使って呼吸している生き物はむしろ少数派。例えば鳥には横隔膜がありません。しかし鳥は人間よりも遙かに酸素摂取能力が高い、効率的な呼吸システムを持っています。何しろ鳥は空気の薄いはるか上空でも酸素を摂取でき、空を自由に飛んでいます。中にはヒマラヤ山脈上空を飛べる鳥もいます。単純に酸素摂取効率を追求するなら、「鳥方式の呼吸システム」を持てばよかったはず。なのになぜ我々の祖先は、わざわざ効率を犠牲にした「横隔膜方式」を選んだのでしょうか? 私は、先祖の選択は大英断だったと思うのですが、その英断に横隔膜の「真の役割」が隠れています。

[コラム] 鳥の肺は一方通行式、ヒトの肺は往復式 鳥の肺は、吸い込んだ「新鮮な空気」だけが肺を通過する「一方通行方式」です。肺を通過した「古い空気」は裏口を通って、二度と肺を通過することなく排気されます。鳥方式では新鮮な空気と古い空気が混じる事がないので、吸った空気は100%有効に酸素摂取に使われます。 一方、人間の肺は空気の出入り口が1つしかない往復方式。そのため吸った新鮮な空気と捨てたい古い空気は常に混じり合って存在しています。しかもせっかく入ってきた新鮮な空気でも、最後に入ったものは、肺にたどり着くこともないまま、すぐ逆方向に押し戻されます。これが出入り口の一カ所しかない横隔膜方式の欠点。肺にたどり着けないまま捨てられる空気の量は成人で約150cc。成人が普通に呼吸している時、1回に吸い込む空気の量は約500ccですから、なんと吸った空気の30%が酸素摂取に使われることなく無駄に捨てられています。 鳥方式と横隔膜方式。酸素摂取効率だけに注目すると、呼吸システムは鳥方式に軍配が上がるでしょう。

 

 横隔膜を持つ動物とは? そうです、哺乳類です。ちなみに哺乳類は単孔類(カモノハシなど)、有袋類(カンガルーなど)、有胎盤類(イヌ、ネコ、ウシ、ヒト・・・など)を指しますが、共通するのは「母乳で赤ちゃんを育てる」ことです。

すると「横隔膜は、母乳を吸えるように発達した臓器ではないか?」という推論が成り立ちます。それを検証しましょう。

 

結論から述べると「横隔膜は、母乳(液体)を吸うために先祖が獲得した筋肉である」と私は考えます。古代生物を研究した日本人学者によると、横隔膜は元々肩付近にあった筋肉だったそうです。それが長い年月をかけて現在の位置まで下がってきたと結論づけています。ではなぜ哺乳類の先祖達は、肩にあった横隔膜をわざわざ現在の位置まで移動させてきたのでしょうか? おそらく先祖達は横隔膜に呼吸以外の仕事をさせたかったからだと思います。

 

簡単な実験をしてみましょう。コップに入れた水をストローで吸ってください。最初に息を全部吐いたところから水を吸ってみましょう。簡単に吸えると思います。次に大きく息を吸い込み、これ以上もう吸えないというところから水を吸ってみましょう。今度は水をほとんど吸えないはずです。

 

そうです、横隔膜は液体を吸い込む原動力だったのです。横隔膜で「陰圧(例えるなら掃除機のように吸い込む力)」を作り出すことで、哺乳類は効率よく液体を吸うことができます。つまり哺乳類が横隔膜を獲得したのは、赤ちゃんが母乳を吸うため。言い換えると、横隔膜が哺乳を可能にした=哺乳類だけが横隔膜を持っている理由だと思います。

 

自然界には周囲にたくさんの敵がいます。特に弱い赤ちゃんは格好のエサとなります。しかし哺乳類が横隔膜を獲得したことで、赤ちゃんは母乳を吸って育つので、常に母親から離れることなく成長できます。敵が来ても子供達をいつも母親の手元に置いて守ることができるのです。一方、鳥はどうでしょうか? 親鳥は巣を離れてエサを取りに行かなければなりません。その間に子鳥は危険にさらされ、ヘビや猛禽類に襲われることもしばしば。哺乳類の先祖が酸素摂取効率を犠牲にしてでも、横隔膜方式を採用したのは、母乳を吸わせ、子孫をより安全に育てる知恵だったのです。哺乳類の先祖、えらい!って思いませんか?

 

と言うわけで、横隔膜の役割とは何か? 「呼吸と哺乳(飲食/摂食)」でした。横隔膜が作る陰圧は、肺に入る空気だけでなく、胃に入る食物を吸い込むためにも日々使われています。

 

[コラム] 横隔膜はどこにある? 横隔膜はおよそ「みぞおち」の高さにあります。本来、みぞおち付近の筋肉は、胸の脊髄神経とつながっています。ところが横隔膜を動かす横隔神経は、首の脊髄神経とつながっています。おそらく遠い昔、先祖の横隔膜が肩付近の筋肉だったので、その名残で首の脊髄神経とつながっているのでしょう。
[コラム] ”飛ぶ”といっても・・・ コウモリは哺乳類ですが、鳥のように空を飛ぶことができます。空を飛ぶためには大量の酸素が必要ですから、横隔膜で呼吸しているコウモリは大変強力な呼吸能力の持ち主なのでしょう。しかし空を飛ぶことにかけては、優れた酸素摂取能力を誇る鳥の方が一枚上手。無警戒に飛んでたら、あっという間にコウモリは猛禽類のエサとなるでしょう。そこでコウモリは鳥が寝静まった夜にこっそり出かけていきます。そして夜でも飛べるように超音波エコーを身につけました。
[コラム] 圧力と重力 水が高いところから低いところに流れるように、物体は圧力の高いところから低いところに移動します。一番有名なのは高気圧と低気圧。圧力の高い高気圧から低気圧に向かって空気が移動するので風が吹きます。同じ理屈で哺乳類は横隔膜で体内に陰圧を作ります。その陰圧によって水が体内に吸い込まれるので、水を飲むことができるのです。では横隔膜のない鳥はどうやって水を飲むのでしょうか? 鳥は水を飲むとき上を向きます。すると重力で口の中の水は低い方に移動します。おそらく鳥は重力を使って水を飲んでいるのでしょう。
[コラム] 唾液の役割 私が子供の頃「唾液は消化液だ。よく消化するように一口食べたら100回噛みましょう」という健康法がありました。しかし実際に100回も噛むと食べ物は跡形もなく水のようになり、味もなくなりおいしくありません。しかも食事時間がやたら延びるので、この健康法はすぐに廃れました。ところが自分が大学生になっても唾液の概念に進化はなく、相変わらず「唾液は消化液」とされたままでした。 ところがその後、英国の有名な科学雑誌に「唾液の機能」について論文が発表されました。「唾液とは、かみ砕いた食べ物同士をゆるやかにくっつけ、『液体』として飲み込むための接着剤だ」という説でした。目からうろこ(!)でした。唾液は、消化液というよりも「かみ砕いた固形物を包んで液状化させる役割」がメインだったのですね。実際、医療の現場では、誤嚥(食事するとむせることを)しやすい人のために「とろみ」をつける専用のペーストが使われています。余談ですが、有名なミュージシャンが、嫌いな食べ物はビスケットだと言っていました。理由は「唾液を全部吸い取られるから」だそうですが・・・確かに乾いた口でビスケットを食べると、かみ砕いたビスケットの粉を吸い込んでむせそうですね。

3【呼吸と嚥下 類似点と相違点】

横隔膜は「呼吸と哺乳(摂食)」に深く関係しています(第2章参照)。それでは呼吸運動と嚥下運動(えんげ=飲み込み)の類似点と相違点について深掘りしてみましょう。

 最初に簡単な実験をしてみましょう。一口水を含んで、しばらく待って下さい。そこから水を飲み込んでください。簡単にできましたね? では次に一口水を含んで、口に含んだまま鼻から深く深く・・・息を吸い込みましょう。もうこれ以上空気は吸えませんというところで、水を飲み込んでください。とても難しいですよね?

 

実は食べ物を飲み込む・・・つまり嚥下には、横隔膜の動きが必要だったのです。横隔膜が動くと体内に「陰圧(吸い込む力)」が生まれ、体内に吸い込まれていくのです。

まとめると、呼吸と嚥下の違いは、体内に吸い込むものが「空気か液体かの違い」はありますが、横隔膜を動かしている点は共通しています。

 

では呼吸運動と嚥下運動の違いは何でしょうか? それは喉の筋肉の動きが異なるのです。

 

呼吸、つまり空気を吸い込んだ時の行き先は肺です。嚥下、つまり食物を吸い込んだ時の行き先は胃です。それぞれ行き先が異なるので通り道も異なります。

  • 呼吸→ 気管を通って→ 肺へ
  • 嚥下→ 食道を通って→ 胃へ

この2つの通り道を切り替えるシステム・・・吸い込んだものによって喉を通るときに行き先を変えるメカニズムが存在しているのです。それには大きく2つのものが関与しています。一つは「①喉頭蓋(こうとうがい)」と呼ばれるもので、これが最も大きな役割を果たします。

 

喉頭蓋は、喉の奥にあり、遮断機のような役割をして、空気と食物の交通整理をします。通常は呼吸をしているので、喉頭蓋という遮断機は食道を塞ぎ、気管側に空気が流れるように誘導しています。ところが、食物が通過する間は、逆に気管側を塞ぎ、食道側に流れるように遮断機をスイッチさせるのです。無事食物が通過すると、再び呼吸できる様に遮断機は気管を開き、食道を閉じる位置に戻ります。

このように、喉頭蓋という遮断機が交通整理しているので、空気と食物はそれぞれ行き先を間違えることなく体内に吸い込まれて行くわけです。

 

もう一つ大切な働きをする喉の筋肉は「②声帯」です。声を出す筋肉でもあり、声帯は気管の入り口部分にあります。普段、呼吸しているとき、声帯は「ハの字」の形に開いていて、空気が通過するように窓を開けたような状態になっています。ところが食物が通過するときは、声帯が左右から閉じて気管を閉じてしまいます。声帯と喉頭蓋は、食物が気管に間違って入らないように、共にタイミングを合わせて確実に気管を塞ぎます。この①と②、2つの共同作業のお陰で、空気と食物は正しく交通整理されて、正しい行き先に吸い込まれていきます。 

[コラム] 誤嚥と誤飲(ごえん と ごいん) 横隔膜の陰圧で吸い込まれるものは、空気または食物です。そして空気は肺へ、食物は胃へとそれぞれ振り分けられて吸い込まれて行きます。ところが誤って食物が肺に吸い込まれてしまう場合があります。それを「誤嚥」といいます。空気と食物を交通整理している①喉頭蓋と②声帯が、気管を塞ぐタイミングを誤ってしまうことが原因と考えられています。食物が誤って気管側に流れ込むと、食べ物を気管から外へ押し戻すために激しい咳が反射的に起こります。一方の「誤飲」とは、本来食べ物ではないものを間違って食べてしまうことです。例えば赤ちゃんがタバコやコインを飲み込んだ、といった類いのことを指します。字は似ていますが、意味が違うので新聞記事などで見かけたときは、確認して下さい。
[コラム] 肺は食道から生まれた?肺は空気が入る臓器、胃は食物が入る臓器であり、全く機能が違います。ところがお母さんのお腹の中で「ヒトが発生」していくとき、最初は肺がありません。ところが胎児が徐々に成長していく過程で、成人の「食道」にあたる付近から「肺の芽」がにょきにょきと生えてきます。それが将来の肺に成長するのです。新生児として生まれてきた時には、食道と気管は別の臓器になっていますが、元々は同じ仲間だったのですね。
[コラム] 誤嚥性肺炎の予防は横隔膜を鍛える? 食物を飲み込む力の源は、分厚い筋肉である「横隔膜」です。横隔膜が力強く働くことで「吸引力」が生まれます。ところが加齢と共にあちこちの筋肉が緩んできます。有名なのは例えば尿もれ、老眼、高い声が出ない、お腹ぼっこり・・・等々。どれも筋力が衰えて起こる現象です。これは個人的な意見ですが、ひょっとすると、誤嚥は横隔膜が衰えて、食べ物を吸い込む力が弱くなり、喉を通過する時間が長くなる。そのため気管を閉じるタイミングがずれて、誤嚥がおこるのかな?などと思うことがあります。いずれにせよ、年を取ると横隔膜も喉の筋肉も衰えて、誤嚥が起こりやすくなるのは事実の様ですね。

 

4【しゃっくりの発生メカニズム】

しゃっくりは脳内で発生します。横隔膜ではありません。 唐突な結論となりましたので、詳しく順を追って説明しましょう。

1章で触れた「本当にしゃっくりが活躍している場面」に戻りましょう。つまり、食道の狭い部分に食べ物が引っかかった時に、勝手に始まるしゃっくりについて考えてみましょう。

 

その前に予備知識として「しゃっくり中枢」と呼ばれるものが脳内にあることを覚えておいてください。もう少し詳しく言うと、その中枢は延髄の孤束核(こそくかく)と呼ばれる部位付近にあると考えられています。但し、その正確な位置は未だにはっきりとは分かっていません。ともあれ「しゃっくりをしなさい!」と命令を出す部分が脳(特に延髄)にある、ということがポイントです。

 

食道に食べ物が引っかかると、食道から脳に情報伝達されます。「食道に何かが詰まって、渋滞が起きています!」という緊急事態を知らせる情報です。その情報を受け取った脳は、直ちにしゃっくりを出す命令を出します。その命令とは「①一旦、呼吸を止めなさい!」「②横隔膜を一気に動かして陰圧を作り、食べ物を胃まで吸い込みなさい!」という2つの命令です。するとその命令は各部署に届けられます。

 

  • ①の命令を受け取るのは「声帯」です。声帯は直ちに閉じて、空気の流れを止めます。
  • ②の命令を受け取るのは「横隔膜」です。瞬間的に一気に横隔膜を収縮させ、強い陰圧を作ります。

 

①と②が同時に行われると、あのしゃっくりが起こります。急に呼吸が止まるし、お腹が痛いくらいに横隔膜が動きます。しかし横隔膜が作り出す大きな陰圧で、何とか食べ物を動かそうとしているのですね。これが「実際に役立っているしゃっくり」のメカニズムなのです。

 

まとめると、

  1. しゃっくりが始まるきっかけは食道にある
  2. 食道からの情報が脳に伝えられると、延髄がしゃっくりを出すように命令を出す
  3. その結果、しゃっくりが起こる

ということです。

 

この①食道→②脳→③しゃっくり の情報伝達を覚えておいてください。

基本的に、ほとんどのしゃっくりがこの順序で発生します。

[コラム] しゃっくり発生経路の発見 世界で初めてしゃっくりを人工的に発生させる事に成功したのは日本人研究者です。ネコの喉を刺激するとしゃっくりが発生する事を発見しました。その結果、しゃっくりが発生する情報伝達経路が判明したのです。またしゃっくりを発生させる震源地である「しゃっくり中枢」が延髄に存在する事も分かったのです。

 

5【慢性しゃっくりに関係深い基礎疾患】

基本的にしゃっくりは48時間以内に自然に止まるものだ、と考えられています。そう決まった経緯はよく分かりません。もしかすると「しゃっくりで一晩眠れなかったとしても、二晩は続かないもんだ、安心しなさい」という偉い先生のメッセージなのかもしれません。

48時間以上2ヶ月以内で続くしゃっくりを「持続性しゃっくり」と呼びます。さらに2ヶ月以上続くしゃっくりは「難治性しゃっくり」と呼ばれます。

 

しゃっくりが始まるきっかけで多いのが食事にまつわるもので、食べ過ぎや飲み過ぎもしばしばきっかけになります。そもそもしゃっくりが「飲み込み運動の一種」だと思っていますから、食事に関連するのは当然かもしれません。

しかし長期間しゃっくりに悩んでいる人は「ご飯とは全く関係ないよ」という事が珍しくありません。私が関わって来た方には68年間悩んでいた人を始め、平均病脳期間(=しゃっくりに悩んでいる期間)はなんと5.6年(中央値2年)です。要するに平均で5年半もしゃっくりが止まらないという人が世の中にはいらっしゃるのです。その様な難治性しゃっくりに悩んでいた方の基礎疾患を調査した結果、一定の傾向が分かってきました。

関連が深い疾患

  • 逆流性食道炎(GERD、NERD)、機能性胃腸障害
  • 糖尿病
  • 脳出血、脳梗塞、頭部外傷
  • 慢性腎不全、透析
  • 脊椎骨折(胸椎)

 

その他に、脳腫瘍(転移性脳腫瘍を含む)や食道癌術後、あるいは抗癌剤治療中といった方にもしつこいしゃっくりが起こることは知られています。

まだ他にもあるかもしれませんが、重要なのは「実は未知の病気が隠れている」というよりも、むしろ「はっきりしたしゃっくりの原因がある」方が遙かに多いということです。

[コラム] なぜしゃっくりは意識的に止められないのか? しゃっくりを発生させる震源地は「しゃっくり中枢」と呼ばれ、脳の中でも延髄という部位の中にあります。我々の意識は主に「大脳」にあります。大脳では自分で体に命令を出すことができます。例えば「右手を挙げよう」とか「深呼吸しよう」と思えば、思い通りに体を操ることができます。一方の延髄は体内の内臓その他、全ての臓器の働きを一括して管理しています。例えば体温、血圧、呼吸の速さ、心臓の動き、胃液の分泌などなど、生命維持に必要な活動を、延髄が一括管理してくれているお陰で、我々は苦労なく生きられる訳です。逆に言えば、延髄は「完全自立型」なので、我々が意識でコントロールすることは不可能です。「しゃっくり中枢」は延髄の中に存在するので、その活動を意識で止めることができないのです。

 

6【現在出ているしゃっくりの止め方】

古今東西、文献やネットに出ているしゃっくりの止め方は大きく5つに分類できます。

 

  1. 水を飲む系
  2. 息を止める系
  3. 別のことに意識を集中させる系
  4. 喉などに刺激を加える系
  5. 内服薬、注射薬

 

ちなみに日本に現存する最古の医学書「医心方」(=平安時代版「今日の治療」といった開業医向けの本にあたるのでしょうか)にはしゃっくりの止め方に関して記載があり、「冷たい井戸の水をたくさん飲む」とか「できるだけ長く息を止める」などの治療法が載っているそうです。上記の1)、2)に分類されますね。

それぞれの治療法について少し解説を加えておきます。

 

①水を飲む系

水を飲むことに意義は、脳に「食道の『異物』はすっかり胃に流されて、食道内はクリアになりました」という情報を送り、脳にしゃっくりはもう不要です、と認識させることです。

4章で述べた、しゃっくり発生のメカニズムを思い出してください。しゃっくりのきっかけは「食道に食べ物が詰まった」という情報が脳に伝えられることでした。実際、食道におにぎりが詰まった時は、皆さん、お茶かお水を急いで飲んで流し込もうとします。引っかかったおにぎりが胃に流れるとスッキリしますよね? まさにそれと同じ事をやっているわけです。

普通のしゃっくりの場合、食道には何も引っかかってはいません。しかし、ゴクコク飲んだ冷たい水が食道を流れていくと、脳は「食道には問題なく水が通過しているぞ」と認識するわけです。それにより脳にしゃっくりは不要ですよ、と知らせているもの、と解釈できます。

 

②息を止める系

息を止めると、人間にとって最も重要な酸素が入ってこなくなります。本当に酸素が減ると人間は意識を失い死んでしまうので、意識を失う前に「酸素が減っていること」を察知して命を守る何らかのメカニズムがあるはずです。

実は、人間の脳は「二酸化炭素濃度(以下、CO2濃度)」を常にモニターしています。それを指標に体内の酸素が減ってないかの指標にしているのです。動物はCO2濃度の変化にとても敏感です。なぜなら自然界でCO2濃度が上昇する場所は何かの動物が近くにいる場所だったり、あるいは狭く閉じ込められるような場所だったりと、本能的に緊張する場所だからだと考えられます。例えば人間も例えば満員電車など、人いきれがする場所では暑苦しく感じますが、それもCO2濃度のわずかな上昇を察知して、体が反応している証拠なのです。

体内の炭酸ガス濃度は概ね5%強(註:科学的には濃度ではなく、圧力で表現します。ここではわかりやすく濃度としました)。この濃度が0.1%増加しても、動物は敏感に反応します。体内に酸素が十分に残っていてもCO2が増加すると人間は不快に感じるのです。

 呼吸を止めると、体内のCO2濃度は急速に上昇します。すると体内の酸素がまだ十分残っていても、人間は苦痛を感じ始め、呼吸を再開してしまいます。要するに体内のCO2濃度のモニターは、本当に酸素不足が起きる遙か前に「呼吸しなさい!」と人間に警告するためのものなのです。

 詳しいメカニズムは横に置き、結論から言うと、体内のCO2濃度がおよそ7%まで上昇するとしゃっくりは止まります。つまりそれ以上のCO2上昇は「死んでしまう。しゃっくりなんかしてる場合じゃない!」と脳が「優先順位」を酸素の確保に全集中する、最終ラインなのです。

 つまり息止めをする方法は、体内のCO2濃度に敏感だという人間の本能を逆手にとった優れた方法だと言えるでしょう。

 

③別のことに意識を集中させる系

人間は周囲の環境により色々な反応をします。例えば足下にヘビがいたことに気づいた時、大抵の人はびっくりしますが、その時、心臓が急にドキドキしたり、呼吸が速くなったり、冷や汗が出たり、と色々な身体的な反応が起こります。これらの反応は無意識に起こりますが、これこそまさに延髄などによる「自律神経の働き」です。血圧の上下や心臓の動き、体温調節等々、自律神経の働きは自分でコントロールすることはできません。

ところが自律神経にも優先順位があります。例えば、右にヘビ、左にヒグマがいることが分かったとします。ヘビも気持ち悪いですが、ヒグマに襲われたら命がありません。仮にヘビに噛みつかれようが、ヒグマから逃げることに必死になるでしょう。命を落とすくらいなら、ヘビに近づいてしまっても、全くこわくないかもしれませんね。

このように、脳は目の前にある2つの事態に対して優先順位を勝手に付けて、人間に対応を迫ります。そしてより緊急度が高いと判断した方に意識が集中するのです。

イギリスでは、しゃっくりを止める方法として、唐突に「君のお母さんのミドルネームは何?」って質問するやり方があるそうです。日本で例えるなら「君のお母さんの旧姓は?」という質問に近いかなと思います。確かに普段考えたこともないけど、記憶の隅には残っていそうなことを唐突に尋ねられると、記憶を掘り起こしてしばらく考え込みますよね? ところが面白いことに尋ねられた人のしゃっくりが止まるそうです。日本でも似た方法があるようで、ユニークなのは「ナスビの色は何色?」となぞなぞを出すというもの。古今東西、似たようなことを思いつく人がいるもんですね。

両者に共通するのは、「絶対に答えを知っているけど、答えを思い出すために少し集中して考える必要がある質問だ」ということです。一言で言うなら「意識を集中させる必要がある」ということでしょう。人間は「意識を集中させる課題」を与えられると、それに脳が没頭します。それによって脳は、しゃっくりさせる命令のことをすっかり忘れて、新しい課題に取り組むことで、しゃっくりを忘れてしまう、つまりしゃっくりが止まるのだと考えられます。

それの証拠?なのか、イギリスの母親のミドルネームを聞く質問は1回しか効かないそうです。一旦脳が答えを思い出すと、次からはすぐに答えられるので、意識を集中させる必要がなくなるのでしょうね。

以上のように、しゃっくりは脳から命令が出ていることを利用して、脳に「もっと急ぐ用件だ」と判断させるような仕事を与えることで、しゃっくりのことを忘れさせるのは、道理にかなっていると思います。

 

④喉などに刺激を加える系

指や細い管を喉の奥に突っ込み、嘔吐反射を起こさせると止まる人がいます。実際に嘔吐するとしゃっくりが止まるという人もいます。繰り返しますが、しゃっくりは「食道に詰まったものを胃に移動させる反射」です。食道に詰まったものが吐き出された、と脳が認識すると、確かに理論上はしゃっくりが不要になりますね。 おそらく脳がそのように判断することで、しゃっくりが止まるのでしょう。

 

⑤内服薬、注射薬

基本的に5系統の治療薬があります。

しゃっくりのメカニズムは「食道の刺激」が脳に伝わり「脳からしゃっくりの命令が出る」というものでした。従って「消化管に作用する薬」と「脳に作用する薬」に大きく大別されると思います。それとは別に「しゃっくりは横隔膜の痙攣である」という考え方から、筋肉の痙攣を止める薬も治療薬として挙げられています。それを分類すると以下の5種類くらいになると思います。

  1. 胃薬(制酸薬、抗潰瘍薬)
  2. 吐き気止め(制吐薬、腸管蠕動促進薬)
  3. 炎症止め(抗炎症薬、鎮痛薬)
  4. てんかんの薬(抗てんかん薬、向精神薬)
  5. 漢方薬

これについては「一家言ある」という先生方の解説をご参照ください。それぞれ有効性は学術的な論文や報告が数多くあります。個人的には有効性の期待できるものと、それほどでもないものはあります。ここではその見解を控えさせて頂きますが、ちなみに筆者は①と③の組みあわせ、もしくは③で治療しています。

 

⑥ツボ刺激(鍼灸・指圧)

針治療や指圧が有効とされ、実際ネットには情報があふれています。論文もありますが、ほとんどが中国からの報告です。そのため信憑性について疑問を呈する西欧の医師は少なくありません。それに対する中国人医師の反論も載っていますが、西欧の医師は鍼灸を行わないので確認できません。筆者も針治療の知識や経験がないので、その有効性については論文を参照して下さい。

 

7【慢性しゃっくりの薬物療法(現在判明してきたこと)】

※この章の情報は全て筆者個人の見解です。

 慢性しゃっくりの患者さんでは、しゃっくりを止めても、治療後に自宅などで再発するという問題があります。そこで根本的にしゃっくりを止めたい、という最大の課題がありましたが、少し光明が見えてきましたので、参考までに記載しておきます。

 結論から述べると、アセトアミノフェンが有効なようです。

 具体的な処方(成人例)を参考に、用量用法を加減して下さい。

 ・PPI(強力な胃薬) (例:タケキャブ(10)1錠1×、ネキシウム 1カプセル1×、など)

 ・アセトアミノフェン(抗炎症薬) (例:カロナール(200)6錠3×)

ちなみに昼食後は患者の飲み忘れが多いので、朝夕寝る前の分3で投与することが多いです。

 

きっかけは上部内視鏡の名医の講演です。その先生によると「機能性胃腸障害は食道粘膜下の慢性炎症が原因らしい、という論文が出た」そうです。実は比較的若い女性の慢性しゃっくり患者では、胃カメラに異常がないことがほとんどなのです。そしてまさに機能性胃腸障害らしい訴えを伴っている例をいくつか経験していたのです。そこで筆者はその名医に「食道粘膜下の慢性炎症を抑えるには何が有効ですか?」とお尋ねしました。するとまだ消化器内科でも定見はないとのことでしたが、「一般的なロキソプロフェンでいいのでは?」という解答でした。要するにさすがの名医でも、機能性胃腸障害には手を焼いていて、一般的な胃薬が有効ではないようでした。しかし筆者には最大のヒントとなったのです。

 一般的にロキソプロフェンは、抗炎症薬としては優秀ですが、同時に長期服用で胃潰瘍を引き起こすという副作用がありました。そこで筆者は、小児にもよく使用されるアセトアミノフェンを使ってみようと、単純に考えました。理由は慢性しゃっくりの患者さんには高齢の方が多く、ロキソプロフェンでは胃潰瘍を誘発する恐れがあったからです。

後日、理由を説明して、慢性しゃっくり患者さんに投与したところ、45日服用した後から、急にしゃっくりがあまりでなくなった、というレポートを頂きました。ところがその患者のかかりつけ医が「なぜ鎮痛薬(こどもの風邪薬)を長々と飲むのか、理由が全く分からない!」と怒って、アセトアミノフェンの処方を拒否。すると1か月後、しゃっくりが再発したとして再また外来に来られました。そこで筆者が再度アセトアミノフェンだけを追加処方したところ、またしゃっくりの頻度が下がったと連絡してきたのです。

これがきっかけとなり、他45人にも投与してみました。これらの方には胃薬とアセトアミノフェンを処方しましたが、1名を除き、同様な効果が現れました。1名の方については、どうしても止まらないということで薬物治療を中止しましたが、その方は、独自の方法でしゃっくりを自力で止められる方でした。その方には自分のやり方で対応するようにお願いしました。

ともあれ、複数の患者においてアセトアミノフェンが慢性しゃっくりにかなり有効である、というのは筆者にとって希望の光となりました。

 

薬理作用機序については、推論の推論ですので割愛しますが、事実として有効性はあるようでした。まだまだ研究段階ではありますが、現段階での有効例として報告しておきます。

 

なお、学術論文にして、何度か投稿しましたが、全てReject。何しろしゃっくり専門医が存在しないことも一因ですが、そもそも査読する偉い先生方(癌専門医)にしゃっくりへ興味を示して頂くことが超難関。ましてや彼らを学術的に納得させるだけのエネルギーなどもはや残っていません。

 

 

8【しゃっくり研究の未来・他分野での応用】

※この章の情報は全て筆者個人の見解です。

 もしも・・・横隔膜方式による呼吸法・哺乳法は哺乳類特有のものである、ことから、「横隔膜は気体または液体を体内に吸い込むため、陰圧を作る臓器である」という前提が成り立つかもしれません。これが正しいとすると、以下が言えるかもしれません。

仮説1:誤嚥性肺炎は横隔膜の筋力回復によって改善するかもしれない

 

もしも・・・慢性的なしゃっくりが「食道粘膜下の慢性炎症」がきっかけであり、その慢性炎症がアセトアミノフェンによって軽減されるとしたら、以下が言えるかもしれません。

仮説2:機能性胃腸障害の治療にアセトアミノフェンが有効かもしれない

 

上記2つの仮説は、まだまだ筆者の脳内妄想の段階です。しかししゃっくりの研究を通じて、哺乳類の特性や摂食メカニズムなどについて、まだまだ未知の分野が存在することが見えてきたような気がします。これからも研究と情報発信を細々と続けていければと考えています。

 

追加の情報

筆者のしゃっくり治療経験まとめ

2016/62024/3

 

患者の年齢、性別、病脳期間

受診時しゃっくり 人数 男性 女性

平均

年齢

平均

病脳期間

あり 63 56 7 68.5 6.5年
なし 32 30 2 61.4 4.7年

 

患者の基礎疾患/併存症

受診時しゃっくり 胸やけ(%) 糖尿病(%) 脳疾患(%)

慢性腎不全(%)

喫煙歴有り(%)
あり 79.4 33.3 39.7 9.5 58.7
なし 75.0 21.9 25.0 9.4 68.8

※複数の疾患が併存している患者がいるため、合計は100%を超えます

 

しゃっくりガス治療成績

治療延べ人数 平均治療時間 停止人数 院内再発
139人 6.6分 138人 32人(23.0%)

※ガス吸入で一旦しゃっくりが停止しても、1分以内に再発した患者1名(延髄梗塞あり)

※院内再発した患者では、無料で2回目のガス治療を提供

 

自然気胸の原因や治療

皆さんは「自然気胸」をご存じでしょうか? 一言で言うと気胸とは「肺のパンク」です。
つまり自然気胸とは、気がつかないうちに、何かの理由で肺に穴が空き、肺から空気がもれて肺が縮んでしまう病気なのです。
自然気胸の半数は高校生などの成長期に起こります。

受験や就職などが気になります。

また、忙しく働いている社会人も、早い社会復帰を望まれるでしょう。

入院期間が短くなり、再発率も低下する手術は治療として最適と考えます。

当科では各科と連携し、入院から最短の日数で臨時手術を行う体制を整えました。専門医が対応し、早い社会復帰をお手伝いします。

自然気胸の症状は?

自然気胸の典型的な症状は次のようなものです。但し、症状の強さは患者さんにより異なります。

  • 今までと違う胸の違和感がつづく
  • 突然の胸の痛み
  • 突然の呼吸困難感・・・など

自然気胸の手術

自然気胸の手術は大きく分けて2種類があります。

①保存的治療

胸に管を入れて空気を抜き、穴の自然治癒を待ちます。

保存的治療が無効な場合は手術治療を行います。

②手術治療

空気漏れの原因になった病変を見つけて処置をします。

手術は胸腔鏡で行います。
手術時間は最短で30分程度です。詳しくは専門医にお尋ねください。

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