各種装置のご紹介―CT
CTとはComputed Tomographyの略で、日本語にするとコンピュータ断層撮影となります。X線を照射する管球と、X線検出器が身体の周りを回転しながらデータを集め、そのデータを再構成する事で画像に置き換える装置です。当院では通常の検査で使用する320列CTと64列CT、放射線治療の計画を立てるために使用する専用のCTの計3台を運用しています。
320列マルチディテクターCT Aquilion ONE
当院で使用している320列CTは従来のCTよりも被ばく量が低減されているほか、検査時間の大幅な短縮、心臓や微細な血管などの臓器でも高解像度の検査画像を撮影する事が可能です。
心臓の拍動や呼吸による撮影への影響を抑制し、極めて高精度なデータ検出が可能なため、高画質な検査画像の撮影が可能。
これまでのCTとの違い
今回導入された320列CTはどのような物なのでしょうか?
既に導入されている64列CTと比較してみましょう。
その1.撮影範囲と撮影時間
320列CTは従来のCTよりも撮影の範囲が広いため、素早い検査が可能です。
64列CTと320列CTの撮影範囲と所要時間を比較してみましょう。
同じ範囲をスキャニングしても64列では11.3秒かかっていますが、320列では僅か3.8秒で検査が可能です。
検査に必要なX線を照射するのは写真の黒い部分です。ご覧の通り右側の320列CTの方が照射する装置が大きい事が分かります。
その他では、撮影時に寝台を前後に動かして撮影位置を調整していましたがAquilion ONEではそれらの調整が不要な事も検査時間の短縮に一役かっています。
心臓の検査で比較!
では、以上を踏まえて心臓の検査を行う際にかかる検査時間を比較してみましょう。
左が64列CT、右が320列CTです。
心臓のような常に動く臓器に対しても、素早く鮮明な画像を撮影する事が可能です。
64列CT | 320列CT | |
---|---|---|
管球1回転での撮影範囲 | 32mm | 160mm |
X線の重なり | 有り | 無し |
寝台の移動 | 有り | 無し |
その2.高画質のCT検査を実現
CT撮影の目的は画像診断であり、臓器や病変を正確に描出することが最も重要です。
寝台の移動が不要な事や、心臓の拍動や呼吸の影響を抑制した極めて高精度なデータ検出が可能なため、より高画質な画像を作る事が可能です。
その3.検査に伴う負担軽減
Active Collimatorや部位ごとに線量を調整するVolume ECという技術で被ばく量が従来のCTの約1/4に低減しています。また、造影CT検査においても造影剤使用量が従来の約1/2で済みます
320列CTのメリットは?
- 撮影時間が従来の1/30と短い。
- 心臓や血管も拍動(心臓が動く事)の影響を受けずに高精度のスキャンが可能。
- 造影剤の使用量が少なくて済む(約1/2)。
- 被ばく量が少ない(約1/4)。
- 緊急性の高い心臓、脳疾患に対し迅速かつ高精度の検査が可能。
64列CT | 320列CT | |
---|---|---|
管球1回転での撮影範囲 | 32mm | 160mm |
X線の重なり | 有り | 無し |
寝台の移動 | 有り | 無し |
冠動脈撮影時のずれ | 有り | 無し |
被ばく量 | 多い | 少ない |
造影剤の使用料 | 多い | 少ない |
64列マルチスライスCT
64列マルチスライスCTでは1度に複数の断面が撮影できるため、例えば胸からお腹の範囲の検査を行った場合は約10秒程度で撮影することが可能です。