みなさま、抗がん剤治療と聞いて、ピンとくる副作用はどんなものがありますか?
・・・・「脱毛」「吐き気」が多いのではないでしょうか?
抗がん剤は、がん細胞のみならず、正常細胞にも影響を与えてしまうので、全身に好ましくない影響を及ぼす可能性があります。
そこで、今回は、がん化学療法看護認定看護師が「口(くち)」に焦点を当て、「抗がん剤治療と口内炎」というテーマでお話します。
口腔とは
口腔は、食事をすることや、話すことに欠かせない器官です。
そして、食べたものを消化する消化管の入り口であり、唯一、体の外側に露出している器官です。
そのため、口腔内には非常に多くの「常在菌」が存在しています。
常在菌はどのくらい存在しているかご存じですか?
抗がん剤が口腔に与える影響とは?
一般的に、抗がん剤は血流が豊富で、細胞分裂が盛んな細胞に作用します。
消化管の一部である口腔の粘膜の細胞は細胞分裂が盛んなので、抗がん剤の影響を受けやすいと言われており、様々な副作用が生じてしまいます。抗がん剤による口腔の副作用は、痛みや不快感で患者さんが苦しんでしまうだけではなく、食事や会話を妨げ、口の細菌による感染を引き起こすなど、がん治療そのものにも影響を与えてしまいます。
代表的なものが「口腔粘膜炎(口内炎)」です。
がんの種類や使用する薬によって頻度や重症度の差はありますが、殆どの抗がん剤で生じる可能性が
あります。
口内炎は、だいたい1週間~10日くらいで起こります。その後は自然に治っていきますが、全身状態が悪い場合や、口の中の清掃状態が悪いと細菌が増え、口内炎の傷から感染が起こってしまいます。その結果、治療の遅れや、症状が重症化してしまうこともあります。
予防が大事
口腔内の副作用への対応は、トラブルが起きてから対応するのでは、なかなか間に合いません💦
予防がとても大切です。
その為には、治療が始まる前に歯科受診をし、あらかじめ口腔内を清潔にして、トラブルが起こりにくい口腔環境にしておくことが大切です。そして、その状況を保つことが大切であり、ご自身でも出来るのが「正しい歯磨き」です。

嘔気があり、歯ブラシを口に入れたくないと思う場合は、「ぶくぶくうがい」をすることも大切です。
少なくても、1日3回以上行いましょう。できれば、1日8~10回くらいに行うとより良いでしょう。
口の中のトラブルは、口内炎だけではありません。口腔乾燥や歯肉出血、味覚障害、免疫抑制に伴う感染(カンジダやヘルペスなど)、知覚過敏などもあります。これらについては、また別の機会にお話しさせて頂きます。
全ての基本は、口腔内の清潔を保つことが大切です!!
副作用を少しでも軽減できるよう、ご自身で出来ることから、始めてみましょう。
次回は、特大号の予定です。お楽しみに♪