今回は認知症認定看護師が認知症の基礎知識と予防法について解説します。
近年、認知症の一歩手前と言われている軽度認知障害(MCI/Mild Cognitive Impairment)が増加しています。
軽度認知障害(MCI)は健康な方と認知症患者の中間、グレーゾーンの状態のことで、認知症とは次のような違いがあります。
認知症
認知機能が低下し、1人で生活することが困難な状態(意識障害やうつ病、精神疾患が原因ではない)。
軽度認知障害(MCI)
認知機能が低下しても1人で生活することが出来る状態。
つまり、物忘れなどがあっても、自分で生活することが出来ていれば認知症とは診断されず、軽度認知障害という診断になります。
また、「わたし、最近物忘れが多いけど…認知症かしら?」という質問をよく頂きますが、これは「加齢と共に出てくる物忘れ」です。次の表に病的な物忘れについて示しますので、参考にして下さい。
正常な物忘れと病的な物忘れの見分け方
正常な物忘れ | 病的な物忘れ |
体験の一部を忘れる(夕食のメニュー) | 体験そのものを忘れる(夕飯を食べたこと自体を忘れる) |
ヒントがあれば思い出せる | ヒントがあっても思い出せない |
物忘れがあっても日常生活を送る事が出来る | 物忘れがあり日常生活を送ることが出来ない |
次は認知症の予防法について解説します。
①運動(一番効果的!!)
ウォーキングなどの有酸素運動は脳の血流を良くし、認知症の原因となる物質の蓄積を減少させる効果があります。
1日30分の運動が推奨されています。
②バランスの取れた食事
青魚や野菜、果物、大豆、ナッツ類を中心に、色々な食品をバランスよく摂取することが大切です。
③社交的な活動
人とのコミュニケーションや社会的な活動は脳を刺激し、認知症予防に繋がります。
④過度なアルコール摂取やタバコを控える/適正体重の維持
過度なアルコール摂取は認知症リスクを増加させます。また、50~60歳時点の喫煙量と20年後の認知症発症の関係は1 日 11~40本で1.4倍、1日41本以上で2.1 倍になるそうです。
上記で紹介した中でも、特に運動は効果的と言われています。また、「運動」「バランスの取れた食事」「社交的な活動」「過度なアルコール摂取・タバコを控える/適正体重の維持」は認知症のみならず、生活習慣病の予防に繋がる項目も多いので、無理せず出来る事から始めることをお勧めします♪
認知症は急速に症状が進むわけではなく、工夫すれば長く自宅で過ごす事が出来ます。
色々なことが出来なくなるというよりは出来るまでに時間がかかったり、工夫したりする事が必要なだけです。
入院生活により認知症が悪化することがありますので、住み慣れた地域で1日でも長く過ごせるよう体調管理をしていきましょう☆